Q. 展覧会で目にする「シルクスクリーン」や「リトグラフ」「ジクレー」。これっていったい何のこと?

A. それぞれ、版画(複製画)の種類(技法)の名称です。

「版画」と聞くと、多くの方が図工の時間や年賀状制作などで、自ら刷ったこともある「木版画」をイメージすることでしょう。これももちろん版画の一種です。

シルクスクリーン、リトグラフ、木版画など、実は版画にはその制作方法(技法)により、幾つもの種類があります。各技法それぞれに特徴があり、作品の魅力をより良く再現するため、作家の意図、原画のイメージなどを考慮し、使い分けられ制作されています。

【主な版画の種類】

<木版画>
・「木版画」と呼ばれるのは、木の板を「版」にしているからです。
・「版」の凸部に着いたインクが紙に転写されるので、「凸版」の仲間です。

<銅版画>
・「銅版画」と呼ばれるのは、銅の板を「版」にしているからです。
・「版」の凹部に着いたインクが紙に転写されるので、「凹版」の仲間です。

<リトグラフ>
・「リトグラフ」と呼ばれるのは石(=リト)の板を「版」にしていたからです。
 (※最近では金属板が利用されることが多いようです。)
・水と油の原理を利用して「版」の上にインクののる部分、のらない部分をつくります。
 インクののった部分のみ紙に転写される為「版」に凹凸をつける必要がなく「平版」と呼ばれます。

<シルクスクリーン>
・シルクスクリーンと呼ばれるのは、昔、シルク(絹)の布を「版」にしていたからです。
 (※現在は化学繊維などの強い生地が使用されています。)
・「版」の生地面にインクを透す部分と透さない部分を加工し、その透す部分(孔)からインクを紙に透過付着させるので「孔版」と呼ばれます。

<ジクレー>
・コンピューターなどデジタル技術の発達により、近年著しく進歩した技法です。
・インクを紙に吹きつけるインクジェット方式を採用し「版」が存在しないため、厳密には「版画」ではありませんが、美術品の修復に使用されるなどその精度は高く、近代の新しい「複製画」として版画と並ぶ位置づけがされています。

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