質問にお答えします Part.2

先月、東京セントラル美術館で開催致しました「全版画展」には、本当に多くの方々においで頂き、また早速に感想等メールも頂戴しておりまして、心より御礼申し上げます。
画業20周年記念の企画でしたので、この機会に多くの方々に楽しんで頂けましたことが大変嬉しく、記憶に残る展覧会の一つとなりました。

また、サイン会の際には皆様から色々なお声をおかけ頂きました。
「10年以上前の作品がたくさん観られて懐かしかった」「当時のことを思い出して感慨深かった」「観たことの無かった昔の版画の実物を初見できて嬉しかった」「数が多く圧倒された」等々、お話を伺いながらも、この展覧会を”やって良かった”と喜ばしく感じておりました。

取り急ぎ、ひと言だけ感謝をお伝え致したく・・・
本当にありがとうございました。

*        *         *

さて、お寄せ頂いたメールやサイン会時に直接お答えできなかった質問に、まとめてお答えした回が以前にも一度ございましたが、今回はその<パート2>ということで・・・
最近頂戴していたものに答えさせて頂こうと思います。

Q.1 先日出版された「ヨーロッパ旅の画集」に、私が好きな「ラゴ・マジョーレ」が載っていなかったのですが、画集に選定された絵はどうやって決められたのでしょうか?

A. 今回の画集では、全体を通して自分なりのストーリー性を大切にしながら、1冊の”大人の為の絵本”的な画集を目指したかったこともあり、それに沿う絵を選び並べてゆきました。特にイタリアの作品はもともと数も多く、むしろ掲載できた数の方が結果的には少ないくらいとなりました。
ただ、私個人にとりましては、どの作品に対しても大切さや思い入れは同じですので、たまたまこうなった、としかお返事のしようがない所が辛いところです。


Q.2 「ヨーロッパ旅の画集」の中に、これまでの印刷物で見るよりも、色が少しだけ薄く感じられる作品があったのですが?

A. 上記Q.1 でお答えした内容とも重なってきますが、今回は全体を通じ一貫した流れのある構成にして、作品を見て頂く際にも、その「流れ」を大切にしたいと思いました。そこで、淡彩や習作など色の淡いものは少し濃いめ、油彩やアクリルなどの強い色味の作品は敢えて少し抑えめにして、強弱・濃淡の差やバラつきが全体として少なく、色彩の面でも各頁スムーズな流れで観て頂けるよう意識的に微調整をしました。
そのせいで、そういった印象を受けられた方もいらしたかもしれません。


Q.3 出版日を7月7日の七夕にされたのは、意味がありますか?

A. 実は、初めは7月1日の予定でした。ですが、何か記念になって記憶に残りそうな日取りの方が、ちょっと良い感じかな?などと思い、七夕が近かったので、7月7日にしました。つまり、特に深い意味は無かったのですが、これは自分の意志で決めた日にちであることには違いありません。
それにしても、出版日のところまでご注目頂き、光栄です(笑)。


以下は、「ちいさな絵画館」のアンケートからのご質問となります。
お答えする場所が他にございませんので、ここでお返事をさせて頂きます。(質問を下さった方が、ココを見て下さることを祈りつつ・・・)

Q.4 お気に入りの美術館があれば教えて頂きたいです。

A. 美術館へは、日本でも海外でも、時間がある時や都合がうまくついた時には行くようにしています。
特に印象派の作品などは、世界各国の美術館にパラパラと収まっていたりしますので、機会があれば都度チェックして訪ねています。
中でも、印象派作品の多いパリのオルセーには幾度となく足を運んでいます。ただし、それは”お気に入りの美術館だから”という感覚とは恐らく違うように思います。
職業柄(?)ついつい先達の素晴らしい作品を観る目が、いつの間にか”勉強の目”になってしまうからなのでしょうか、毎度30点ほども観賞するとクタクタになってしまう為、いつの間にか、(大きな美術館ほど)気に入ったコーナーだけにしか行かないといった観方になり、その代わり何度も訪れることになっているようです。
つまり、美術館に対しての嗜好は、その時その時の企画内容やそれぞれの展示内容次第と言えるのかもしれません。
そんな訳で、明確な”お気に入り”という意味では、今は具体的にお伝えできないのが正直なところです。
建物が素晴らしいとか、居心地よい庭園が付属しているとか、観点によっては好きな所もあるのですが・・・将来的には、何も考えず楽しめる作品をぼぉっと観賞できて居心地も最高な、”お気に入りの美術館”と出会いたいとは思っています。


Q.5 作品の中に登場する女性(大人・子供を問わず)の髪型が、後でひとつに結んでいることが多いのは何か理由がありますか?

A. 遠景に人が大勢いる様子を描くとしましょう。その人々をパッと見て、男女、子供、老人などの区別がつくように描き分ける為には、ある程度それぞれを特徴的な姿で描かなくてはなりません。
例えば女性の場合、ショートヘアーでパンツ姿を遠目で描いてしまいますと、少年(男の子)にも見えてしまうでしょう。
また、近景の中に女性を描く場合でも、ロングヘアー(特に後姿)ですと、顔の向きや首の傾きなどを隠してしまう為、微妙な表情あるニュアンスが消えてしまいます。
その点、結び髪ですと女性らしい仕草が見え隠する感じで表情が出やすくなるように思え、どうしても多くなってしまいます。
反面、ロングヘアーやカーリーヘアーのスタイルの後姿は、どこか”開放的な感じ”を出せますし、また、ボブは何処となく”大人の落ち着いた女性”のイメージが欲しい時などに、これまで割りと多く描いてきている気がします。
更に顕著な例は・・・女の子のヘアースタイルとして、頭の両脇で二つに結んだスタイルが多いことです。
“女の子特有の可愛らしさ”を、絵として表現しやすいからなのでしょうか。
ただ、上記の例はあくまで自分の中での方法論です。勿論、絵の中と現実とでは違いますから、そこまで意識的に描いている自覚も確信も、実はあまりないのです。

「ヴィーナスの港」より部分アップ

絵の主役であり”ヴィーナス”の象徴であるヴァイオリンを弾く女性、後ろに束ねた髪を取り去ると・・・。少年のように見えてしまっては困るのです。

「CANDY」より部分アップ

束ねた髪を解いてしまうと、耳や顔の輪郭などの”微妙な表情”が隠れてしまい、全体のニュアンスや印象に影響してきます。

というわけで、毎度のことながらスッパリ気持ちの良いご返答とはなっていないかもしれません。意味がわからないようでしたら、更にご質問下さい(笑)。

また、引き続き疑問などございましたら・・・もしくは「こんな話が聞いてみたい」というようなリクエストでも結構です。ご遠慮なくお寄せ下さい。

では、今回はこの辺で。

笹倉鉄平

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