東京での個展です
『え?日本を描いた絵、50点もありますか?』
そんなお声も聞こえてきそうな、今回の個展です。
日本の風景を描いた絵のみを、この規模で展示させて頂く原画展、実は初めてです。
画家デビュー以来、ヨーロッパを旅する中で出会った風景を中心に創作してきましたが・・・
15年ほど前から、海外で個展を開催する度に、日本の美しい景色を紹介したくて描いてきた日本の情景作品が、少しずつ、また少しずつと増え・・・今般、50点を一堂に集めることが出来ました(小品やスケッチなど含めてではございますが)。
本来であれば、今年のこの時期は、ホスト国としての催行や応援などに一致団結して頑張った東京オリンピックを終えた後の、熱も冷めやらぬ頃であったはず。様々な想いと共に終わったであろうオリンピックの喜びや感動、充実感など「やっぱり日本てイイね」という気分を共有する場にしたいと、以前は考えていた”日本の絵”展でした。
そして、メインに据える1枚は富士山の絵にしようと決めて、令和初めての元旦から筆をとって描き始めたのが「日の出・富士・印象」でした。ところが、描いている最中の春から今回のコロナ禍となってしまったのです。その頃から、込める想いの形は変わってゆきました。日本人皆が、気持ちを一つに感染収束に向け努力する姿勢や頑張りにエールを送り、敬意を抱きつつ・・・日々キャンバスに向かったのです。
“日本は頑張れる、心を一つにして乗り越えてゆきたい”
そして、乗り越えた先に見る、明ける空と富士山と生まれ出(いず)る日を、希望の光と共に――
* * *
現在の社会状況の中で展覧会を行う複雑な心境は、前回の「アトリエから/コロナ自粛後、初の個展です」にも書かせて頂きました(重複しますので今回はふれませんが…)。
感染拡大の影響で、本当に多くの業種・大勢の人々が様々に知恵をしぼり、多大なご苦労をされながら「密を避け人を集めない」努力をされています。短時間にピンポイントで人を集めることにつながりかねないサイン会は、当会場でも見合わせざるを得ません。
また、僕の絵のファンの方々の中には、医療に従事していらっしゃる方もとても多く・・・収束が見えず大変なご苦労の中にいらっしゃる方々へ感謝と敬意の念と共に、自分たちにも出来る範囲で拡大を広めないよう意識高く行動したい、と改めて感じる今日この頃です。
笹倉鉄平