北欧 小ネタ・アルバム

先日「ヴィスビーのクレープリー」という作品が発表され、関するメールを沢山頂戴しました。
嬉しく拝読致しました・・・いつもありがとうございます。
多くのご感想をお寄せ頂いたということで・・・いい機会ですし、このページではまだ一度もしていなかった、昨年7月に北欧へ行った 時の話をさせて頂きます。
たまには、あえて『絵』から離れ、制作の合間々々に現地で見聞きした”ちょっとした話”を、写真と共につづってみようと思います。

ちなみに”ヴィスビー”というのは、スウェーデンの小さな島にある港町の名前です(詳細は 「アートテラスHP」の新作リリース紹介頁・画家コメント内にございます)。

こちらは、そのヴィスビーの町で唯一のスーパーマーケット内の写真です。
レジ付近のこのコーナーだけが派手な色で溢れているのですが、これは駄菓子(キャンディやグミやガム類)の数々で、広大な売り場を誇っています。
驚くのは、スーパーだけではなく、菓子屋は勿論、空港や駅のちょっとした店でも、雑貨屋でも、露店でまでも・・・ともかく立ち寄った北欧の町ほとんどで、こういった菓子コーナーのなんと多いことか!!
北欧といえば、”エコ先進地域で・・・”などと、何となく健康面でもヘルシー指向なイメージを勝手に抱いてしまっていたのですが、一見あまり身体に良くなさそうな色づけがされた、甘いお菓子が「大好き」という光景が意外でした。

同じくヴィスビーの女性服店ショウウィンドウで見かけた服(ワンピース?)です。
日本からここまで遠く離れると、漢字もオシャレなグラフィックに見えるのでしょうか?
Tシャツにデカデカと漢字がプリントされているのは最近よく見かけますが、こんな風にデザイン処理されてテキスタイルに取り込まれているのが、北欧らしいのかもしれません。
・・・それにしても・・・何とも・・・(苦笑)。

スウェーデンの首都ストックホルムの旧市街にて。
頭の中を、スウェーデン出身のカーディガンズの名曲「カーニバル」がエンドレスで流れる中、ふと気付いたのが、建物の壁面に張り付いていたコレ・・・どうやら配電盤か何からしいです。
普通は、灰色系に塗られている地味なものが多いですが、こんな風に遊び心を感じさせつつも、街の雰囲気や色合いともさり気無くマッチングを考えてある―そんな小さな配慮が美しい景観に与える影響は大きいんだろうなぁ・・・と。

毎度の如く、カフェにはよく立ち寄りました。
左はフィンランドの首都ヘルシンキで入った、とあるカフェの中の様子です。
映画「かもめ食堂」に見るが如き、すっきりとした雰囲気の良い所が多いのですが、北欧では立派な老舗であれイケてる最新のカフェであれ、どこもかしこもセルフサービスなので驚きました。
そして、基本アイテムとしてほぼ必ずあったのが「シナモン・ロール」で(写真右/一例です)、これがまたどこで食べても大変美味しいのです。濃い目のシナモンの香りとほどよい自然な甘みのバランスが絶妙で・・・すっかりクセになってしまいました。

所変わって、ノルウェーのベルゲンという港街。
写真集か何かで見て以来、20代の頃からずっと憧れ続けていた世界遺産の街です。
港に沿ったプロムナードで、ふと見かけたマンホールの蓋の絵柄がとてもイイ感じで、自分への土産代わりに写真を撮りました。

そのベルゲンの港には、新鮮な魚介を商う露店市がたつ一角があり、人出も多く活気溢れる場所です。
ランチ代わりに、プリプリの小エビのサンドイッチをパクつきながら付近を散策している時、魚屋のものらしい小型トラックが目に留まりました。
人魚の絵と抑制のきいたその色とデザインに、「・・・なかなかヤルな」と。

「ん?”Teppei’s Pizza”?!」
これをベルゲンの街中で初めて見かけた時、何故か頭の文字「P」が一瞬「T」に見え、自分のサインの字体にどことなく似て見え、更には、絵によく登場させる様な街灯が真ん中にあるではないですか・・・意味不明な親近感を覚えてしまいました(笑)。

ノルウェー、オーレスンという町のヨットハーバーです。
その北緯は、ほぼ62度―というとカラフトよりも遥かに北、アラスカのアンカレッジと同じくらいの緯度にある、既に北極圏にも近い高緯度の町です。
“夕陽”を浴びておりますが、7月ですので、実はこれほぼ真夜中、なんと夜中の12時頃なのです。もう白夜に近い世界ですね。逆に冬場は、午後3時頃には暗くなる(!!)とのことで・・・世界は広いなぁ・・・。
そんな過酷とも思える環境を「当たり前」として受け入れ、苦とも思わず生活している人々や町には、いつも大切な事を教えてもらっている気がします。

昨夏のパリでの個展後、その疲れを癒したいと思って立ち寄った北欧だったのですが、短い夏を謳歌する美しい街並や自然を前にして、結局この旅でも、いつもの通りの「制作モード」へと、いつしか変わっていったのでした(笑)。

笹倉 鉄平