私の先生

前回の続きを早く書こう書こうと思いつつも、毎度のことですが、瞬く間に1カ月がたってしまいました。
このところ、調子が良いのか、絵の下描きを一気に3枚もしてしまい、大変なことになってしまっていたのです。
というのも、やはりイメージが熱いうちにある程度は薄描きでも、色を入れておかないとならないものですから・・・。
それを、やっと終えて落着いたところです。
では、続きに入りましょう。
前回あった「イタリアでの大切な用件云々」とは、来年のイタリアでの個展開催準備の件でした。
文化交流という目的の為、出来れば公共の施設が望ましいと思い、芸術に対する理解の深い市や街の方々に直接お目にかかってきたのです。

Recanati市庁舎、市長執務室にて。
右から、協会の松浦さん、笹倉、市長、ビアンキ先生

一度きりの花火のような展覧会で終わらせるのではなく、地道に絵を通じての文化交流活動を続けてゆけることを望んでいます。そして、この個展を成功させて初めて次の道は拓けてゆくでしょうから、尚更気を引き締めて臨んでいます。
このイタリア個展の後(恐らく来秋頃?)には、日本でもその”再現展”なるものを開催出来るように考えています。
ビデオや写真等も使って、現地での雰囲気も同時に楽しんでもらえるような展覧会が出来れば最高なのですが・・・・・日本の皆さんは、こちらを待っていて下さいね。

さて、今回この個展実現の為に多大な協力をして下さっているのが、「イタリア.フィレンツェ.日本.文化経済交流協会」さんの方々と、イタリアの著名なアーティストである「ヴィンセント・ビアンキ先生」です。
ビアンキ先生は、その協会を通じて知り合って以来、深い見識に支えられた「アーティストのあり方」、「絵画芸術の精神」など、学ぶ事の多い話をお会いする度に伺い、とても勉強になっています。

簡単ですが、紹介させて下さい。
ビアンキ先生は若くして、イタリアの宗教画ビエンナーレ展で金賞と大賞を受賞され、彫刻をメインに絵画、版画、レーザーアート、詩作等、古典から現代アートまで幅広い活動をされながら、世界各地で個展を開催していらっしゃいます。
つい先頃まで、フィレンツェ・アカデミー美術学校の教授をなさりながら、世界遺産の街ウルビーノの美術学校の校長をも兼任され、更にローマ・アカデミー美術学校や、カナダのトロント大学等、6校の名誉教授でもあります。(実際お会いすると、そららの肩書きを感じさせないお人柄がまた、”ホンモノだなぁ…”と、かえって感慨深いのですが・・・)

日頃から大変お忙しい身にも関わらず、今回は丸々4日間も私の為に自ら愛車のハンドルを握り(やはりそこは流石にイタリア人。齢64歳とは思えぬ猛スピードで…)、ローマ近郊からアドリア海側まで、「見せたい”イタリアの魂”がたくさんあるんだ」とおっしゃりながら、あちらこちら精力的に案内して下さり、ずっと恐縮し通しでした。

全てにおいて前向きなそのパワーはどこから来ているのだろうと思い質問をしてみると、「どうして老けこむ必要があるんだい?
逆にわからない・・・」と返されたお言葉が、今回妙に新鮮に記憶に残りました。

聖ベネディクト派の聖地Monastero S.Scolastica 修道院。
中庭にあるビアンキ先生の彫刻前で
ビアンキ先生がプロデュースされた
芸術村 Cervara di Romeで(ビアンキ先生の作品と)

思えば、私が10代に美術の手ほどきを受けた恩師である先生も、また彫刻家でいらっしゃいます。
彫刻をするには、頭の中で立体的に対象を捕らえなければならないので、ある意味、平面である絵よりもデッサン力が必要なのです。そのせいか、常に「目に見えていない裏側も、意識してデッサンしないといけない」と教わってきました。厳しいトレーニングでしたが、その甲斐あって頭の中での想像を絵として表現する基礎が身に付き、今どれ程感謝をしていることか・・・。

これらのご恩に応えるには、この先もっと”良い絵”が描けるよう、私自身が成長してゆくことしかないように思うのです。

「先生方、本当にありがとう。」

笹倉 鉄平