こうして絵は出来てゆく・・・

前回のこのコーナーの日付を見て”エッ?5月9日!?”・・・もうそんなに経っていたのかと、驚いてしまいました。
この2ヶ月程は、久しぶりの札幌での展覧会へ出かけた以外、ほとんどアトリエにこもっていましたので、曜日感覚も全く無く、時間だけがこわい位早く過ぎていってしまった感じです。

特に終盤の仕上げの時期は、かなりの集中力が必要な為、目の前にある絵以外のことは全く何も考えられず、気持ちの方も高揚しっぱなしで、あまり休む気にすらならなかったりするのです。

制作に取り掛かる頃は、どのように絵を自分の世界として表現したらよいかと、知恵熱が出そうになる程、頭の中が疲れるのですが、おおよそそのイメージが固まって、中盤の制作過程に入ってくると今度は、何も考えずにどんどん描いて描いて・・・の作業の連続となり、むしろ体力勝負になってきます。
そして、”こんな感じ”というあやふやな感覚だけを頼りに何度も描き直してゆき・・・そんな中から”これだ!!”と思えるものが見つかり、前述の仕上げの段階へと入っていくわけです。

先日発表した「ラ・ランス」でもそうでしたが、最近は自分なりの点描で表現した作品を多く制作しています。
これは後期印象派の点描から受けた影響というよりも、点描というものが、ある種の「詩情」を画面上に醸し出せるのでは、と感じているからです。
さらに、絵の具は色を多く混ぜ合わせると、どうしても濁りが生じてしまいます。
ところが、複数のきれいな色を点描で交互に配置し少し離れたところから見ると、濁ることなく混色されたような効果が生まれるという理由もあるのです。
これは光を表現するのに最適な方法で、欲しいと思う色を2~3色に色分解して、いわば人の目によって混色してしまおうという画法です。
また、ひと口に点描と言っても、点の大きさや打ち方、色彩、そして隣り合う点と点の色調の差などで多種多様の表情が出ますので、それぞれの絵で出したいイメージに合わせて変えています。

この様にして、つい先日も絵が仕上がり、現在一息ついているところです。
・・・が、既に次はどんな絵を描こうかと思い始めている自分がここにいたりもするのですが・・・。
絵を描くことは、もはや仕事というよりも生活の中心になっていますので、自然とそうなってしまうのでしょうか。
興味を惹かれるもの・・・いわゆる趣味というものすら、絵を中心にして廻っているような気がしています。
その代表的なものが旅であったり、音楽でありったりして、描く上での必要なイマジネーションを与えられているように思います。
浅くてもよいから、広く多く様々な分野から・・・と思うのですが、わりと凝り性の為、一度”マイ・ブーム”になるとなかなか飽きることがなく、常に何本もの”ブーム”の線が重なってしまい、それらにかける時間をあまり持てないせいか、全てが中途半端になってしまっているようです。
それでも、自分の中の”点描の一つの点”位にはなっていると思いますので、それで良しとしていますが・・・。
それらの小さな”マイ・ブーム”の話も今後ここに機会があれば書いていきましょう。

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CDジャケット・表面
CDジャケット・裏面

さて先日、「笹倉さんの絵がカバーになっているCDを発見しました・・・云々」というメールを戴きました。
ご紹介が遅くなってしまいましたが、これは、6/25にリリースされたボサノヴァ・アーチストの中村善郎氏のベスト・アルバムのことだと思われます。

5月頃、たまたまJ-WAVEというFM局のとある番組に中村善郎氏が出演されていて、ミニ・ライブ風に生ギター一本で歌われたのを偶然に聞いていました。
その時は、本場のサウダージな気分(?)を感じて、素直に”いいなぁ~”と印象に残りました。
すると驚いたことに、その何日か後に氏のレコード会社のご担当の方から私のオフィスに電話連絡があり、CDのカバーに絵を使用したいとの依頼があったというのですから、不思議なものです。

スタッフの話によると、そのご担当の方とデザイナーの方が事務所にいらして下さって、表側は「コリチェッラ-虹のたつ港」、裏側に「ヴィルフランシュ」を選んでゆかれたとのことでした。

完成した当のCDを聞かせて頂いて、とても納得しました。
「シネマ・イタリアーノ」というアルバムからの曲など(個人的には6曲目が特に)は、私の中で「コリチェッラ」のイメージととてもリンクしたのでした。
中村氏は、長くブラジルを放浪されておられる時にボサノヴァに出会い、演奏活動を開始されたそうで、ポルトガル語でも作詞をされ、勿論作曲・編曲なども手がけ、幅広く活躍されていらっしゃいます。
よろしかったら聞いてみて下さい。
・・・というわけで、お気に入りのボサノヴァのCDが出来て喜んでいます。

笹倉鉄平

2003

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