僕の絵が出来るまで

つい先日、昨年末からとりかかっていた絵がようやく完成し、今はまるでボロぞうきん(?)のような状態です。

作品の「仕上げ」の時期(大きさによってまちまちですが、約10日間前後)は失敗が許されず、特に精神集中が必要なので、他には何も手につかないのが現状です。
この時期は新聞やテレビさえ目にすることがないので、社会からはずれ落ちてしまう感じです。
移動中の時間などを利用して書きかけていたこのページの文章も途中になったままでしたので、今やっと書き直しています(社会復帰?)。
さて、皆さんからいただくメールの中で、よく「アトリエの様子」や「絵が出来るまで」に関するご質問をいただき、お答えしようと思うのですが、とても1度には書ききれませんので、少しずつお答えします。

今回は先にも触れましたが「制作状況」について続けますね。

旅先で様々な情景に出会い対面しているうちに、何となく絵のイメージ゙が湧いてきたり、また、もともと頭の中に固まりきれないウスボンヤリとした映像のようなものがあって、それをとりあえず鉛筆などで紙に書いてみたり、そのイメージ゙にあうモチーフを求めて旅に出かけたりすることから始まります。

このとき大切なのは「何が描きたいのか」「思いをどう伝えたいのか」といった自問自答を繰り返すことだと思い、いつもなるべく真っ白な気持ちでチャレンジしようと心がけています。
まだまだ型にはまる事は拒否したいですし(若いですから!?)、自分の表現力の無さを常に感じていますから、「こうしてみたら・・・」「ああしてみようか・・・」のオンパレードで尽きることがありません。
そんな具合ですから、描き始めても途中で止めてしまい、別のキャンバスを取り出し新たに描き出すこともあります。

ただ、昔は出来なかったのですが、今では実際に絵具を塗っていかなくても、目と頭だけを使い想像で描き足したり、直したりと、ある程度先へ進められるようになりました。
・・・・・説明しづらいですが、将棋の先の手をプロなら読んでいける?様な感じとでもいうのでしょうか。
もしもハタから見ているとすれば、絵を前にして何もせずボーッと座っているようにしか見えないでしょうね。(少しアブナイ感じかも・・・)

そしてある程度絵具を置いてゆき、またその先を・・・と、そうこうしているうちに、あやふやだったものが平面に定着して行きます。
こうして出来あがって行く過程が、大変だけれど僕にとっては楽しいのです。
もちろんスケッチ画的なものは少し違って、もっとストレートな感じですが・・・。

そして完成された状態が想像できたとき「仕上げ」に入りますが、それでも自分の思いとのギャップがまだ埋まらない所があり闘うのです。
そのストレスは表現者、制作者である以上あって当たり前のものですし、次への意欲にもつながっています。
その結果、今の自分にはこれで精一杯と感じたとき、自然に筆を置きます。

完成後もしばらくはテンションが高いままで(それは制作期間が長ければ長い程)、「あー終わったんだなぁ」としみじみ思いながら2~3日かかって普段の状態に戻るような感じです。

色々な画家さんのタイプで全く異なると思いますが、僕はこんなふうにチョー地味な感じでやっています。
次回はアトリエで聞いている音楽について(こちらも質問メールが多いので)など、お答えしてみようと思います。
では、今度こそ近いうちに・・・

笹倉鉄平

2001

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